どんな作品?見どころについて

子供たちをテーマにした映画のひとつ。第2次世界大戦時に、ナチス・ドイツに侵略されたウクライナでの子供のバイオリン奏者を描いた作品で、バイオリンを演奏しながら生き残りを賭ける子供たちに注目です。

登場するのは、子供とは思えないほどのバイオリンの腕前を持つ2人の少年少女。2人はユダヤ人で、名前はアブラーシャとラリッサ。それぞれバイオリンとピアノを演奏し、その腕は神童として騒がれていました。そんな彼らの噂を聞きバイオリンの名手と言われているドイツ人の少女(ハンナ)が一緒にレッスンを受け、3人に友情が芽生えていきます。しかし、ナチス・ドイツがウクライナへ侵攻をはじめ、ユダヤ人であるアブラーシャとラリッサに危機が迫ります。

見どころは、やはり子供たちの演奏と3人の絆、そしてア戦乱に揺れるヨーロッパの人々です。演奏家になることを夢見た少年少女の夢物語というよりも、戦争の中彼らがバイオリン奏者として必死に生きる姿が痛く心に響きます。なぜなら、2人は『完璧な演奏をすると命を助ける』『ミスをしたら処刑する』といわれているからです。バイオリンとピアノの演奏が好きで演奏をしていた彼らが、戦争のために利用され、命まで賭けられるのは辛いもの。ハッピーな映画ではありませんが、戦争の辛さを映画を通して目の当たりにします。

登場した子供は本当のバイオリニスト

実は、登場人物のアブラーシャを演じるエリン・コレフは、本当にプロの天才バイオリニストなのです。そのため、劇中で流れる演奏の数々は本当に彼が演奏をしています。プロというだけあり、その演奏は素晴らしく、心に響きます。テーマはナチス・ドイツによる戦争ですが、彼の演奏も注目してほしいです。

キャストはすべてドイツ人ですが、言葉もドイツ語になります。2人の神童はウクライナに住むユダヤ人ですから、ドイツ語なのはおかしいのでは?という意見もあります。細かいところまで映画を観たいという方には少し気になるかもしれませんが、全体を通してもとても素晴らしい映画です。まさに、『命をつなぐバイオリン』。彼らは、バイオリンとピアノ演奏で命が続くか終わるかが決まっていますから、観ていて心苦しく感じるシーンもあるでしょう。子供たちが主演になるため、その感情は強く残ります。直接的な残虐性はないものの、子供目線で描いているので、精神的な残虐性はあるでしょう。

最後に、『殺されたユダヤ人の子ども150万人をしのぶ』とテロップが表示されます。実話ではありませんが、当時の出来事を映画を通して知ることができます。